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四 - 3

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「いや、まことに言語同断(ごんごどうだん)で、ああ云うのは必竟(ひっきょう)世間見ずの我儘(わがまま)から起るのだから、ちっと懲(こ)らしめのためにいじめてやるが好かろうと思って、少し当ってやったよ」

「なるほどそれでは大分(だいぶ)答えましたろう、全く本人のためにもなる事ですから」と御客さんはいかなる当り方か承(うけたまわ)らぬ先からすでに金田君に同意している。

「ところが鈴木さん、まあなんて頑固な男なんでしょう。学校へ出ても福地(ふくち)さんや、津木(つき)さんには口も利(き)かないんだそうです。恐れ入って黙っているのかと思ったらこの間は罪もない、宅(たく)の書生をステッキを持って追っ懸けたってんです――三十面(づら)さげて、よく、まあ、そんな馬鹿な真似が出来たもんじゃありませんか、全くやけで少し気が変になってるんですよ」

「へえどうしてまたそんな乱暴な事をやったんで……」とこれには、さすがの御客さんも少し不審を起したと見える。

「なあに、ただあの男の前を何とか云って通ったんだそうです、すると、いきなり、ステッキを持って跣足(はだし)で飛び出して来たんだそうです。よしんば、ちっとやそっと、何か云ったって小供じゃありませんか、髯面(ひげづら)の大僧(おおぞう)の癖にしかも教師じゃありませんか」

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